昆布の知識
昆布は海藻の一種であり、昆布以外でも様々な海藻類があります。また、"だし"をとる
ことを基本に考えると昆布以外にもいろいろな素材があります。以下でご紹介しますが、その前に昆布の
成長からご説明いたします。
昆布漁のようす→
昆布は深さ5〜7mの海中で、光合成を行って成長します。大きさは長さ2mくらいのものから、
大きいものでは長さが10m以上、幅60cm以上にもなります。
昆布の成長は、遊走子(べん毛を持ち、自分で運動ができるようになった胞子)が昆布から飛び出すことから
始まります。遊走子は水中を泳いで岩などに付着し、発芽してオスとメスの配偶体となります。それぞれ精子と
卵細胞になり受精し、分裂を繰り返して芽胞体に成長します。芽胞体は、しだいに細胞を増やし1年目の昆布に
なります。1年目の昆布は成長を続けた後、一度は枯れてしまいます。しかし、残った根元の部分から再び成長
をはじめ1年目のものに比べ大きく、厚みのある味の良い昆布になります。この2年目の昆布を食用にするのです。
近年、自然環境の変化や海洋状況の変化により昆布の養殖も増えつつあり、資源保護の観点からも様々方面からの
輸入自由化も盛んになりつつあります。
昆布の語源について
昆布の語源については諸説紛々。その中でも最も有力なのがアイヌ語です。アイヌの人たちは昆布のことを「コンプ」又は「サシ」と呼んでいました。
2つの呼び名があるのは、同じアイヌ語でも東蝦夷と西蝦夷では言語が異なるため。「コンプ」は南方系、「サシ」は北方系の言語だと言われています。
そのうちの「コンプ」が転化して、今の昆布(コンブ)になったと言われています。
昆布の歴史について
日本の書物にはじめて「昆布」が登場するのは、792年に完成した「続日本書紀」。須賀君古麻比留という人物が、先祖代々昆布を献上していたというくだりがあります。
これからさかのぼること約1600年、中国の書物の中にクワンプ(綸布)という記述がありますが、はたしてこれが昆布を示すものであるかどうかは不明です。歴史上、はじめて
「昆布」が登場するのは、やはり中国の「名医実録」という書物で西暦500年代のことです。
「祝う」について
昆布という呼び名は、「広布(ひろめ)」からきているという説もあり、その語意にかけて祝い事に使われるようになったといわれています。また、「養老昆布(よろこぶ)」という
めでたい文字をあてて縁起ものとして使うようになったともいわれています。特に、結婚と昆布の関わりは深く、今でも仲人が女性の家を訪問した時、昆布茶に「結び昆布」を入れて縁結び
を祈る地方があります。結納に昆布を用いるのも、「子生婦」をもじって元気な子供がたくさん産まれることを願ったことからきています。
沖縄と昆布
日本で一番長寿の県、沖縄。その沖縄が1人当たりの昆布摂取量が全国でもっとも多い県だということは、意外に知られていません。豚肉と昆布の煮物が有名です。
昆布に多く含まれる食物繊維は、塩分・コレステロール・糖分などを吸着して体外に排出するため、様々な病気を予防しているのです。
仏事の昆布について
昆布は祝い事だけでなく、仏事などにも使われます。その理由として、日本の昔より神社・仏閣では精進料理として昆布は欠かせないものでした。多くの栄養分を含んだ昆布を出し昆布として、
又は食べることによって人間に必要なミネラル・食物繊維などを摂取することができました。また、お葬式などの場では「お清めの塩」が使われ、ここから「塩昆布」が粗供養や仏事の品として使われるようになったと言われています。
根強い天然だしへの愛着
手作りの味、おふくろの味に欠かせないものが、味のベースとなる「だし」です。ある調査結果を見ると、鍋物には「昆布」汁物には「かつお」
が圧倒的に支持を受け、根強い天然だしへの愛着を表わしています。
これは、昆布やかつお、煮干しなどの天然だしが人工だし(化学調味料・市販のだしの素)に比べて、「料理の味が良くなる」「食品公害がない」「家族が好む」
そして、「手作りの味が楽しめる」などのメリットがある、と認知されていることになります。主婦の86%が味や栄養など、天然だしそのものの良さとは別に
「心のこもった料理が楽しめ、しかも料理の腕がふるえる」など、興味深い意見もあります。
もっとも、現実に日常使用されているだしの総量からみれば、人工だしの使用は増えており、特に20歳代の主婦が「料理の時間が少なく、割安ですむ」との理由から
化学調味料や「だしの素」などの人工だしが使用されているようです。
時代と共に食生活は変化していきますが、子供の頃に食べた味というものは一生忘れることができないものです。本物の味は「天然だし」を使うことによって生まれ、
そのつくり手の愛情と一緒になって食する者に伝わっていくのでしょう。
乾燥昆布から出しが取れる訳
昆布は海中で育つために、新陳代謝を繰り返しておりアルギン酸(褐藻の細胞壁にあるねばり気の強い酸性多糖類)が、
栄養の一部となり昆布内部で補っています。簡単に言えば人間の血と同じで、
これを放出することは死を意味します。それゆえ、海中の昆布は出しとなる成分を放出しません。(生昆布からは出しがとれない)
乾燥出し昆布は、漁師達が早朝船で昆布を海中より採り、天日干しでほぼ半日乾燥します。
乾燥(昆布の死)することで、昆布の中の旨味成分が取り出しやすくなります。出しを取る時は体内(昆布)からアルギン酸・グルタミン酸等
を体外に放出するわけです。それが旨味(出し汁)となります。
だしを取る時は「生昆布」よりは、「乾燥昆布」を使う方が良いことがお分かりでしょう。
昆布のチカラ
昆布といえば「だし」というイメージが強いかも知れませんが、「だし」をひいた後の昆布、残りの99.9%が持つ健康的な要素も見逃せません。まずは豊富な食物繊維。昆布はなんと、約3割が食物繊維でできている。
しかも、加熱した時に出てくるネバネバの成分は、野菜ではなかなかとれない【水溶性食物繊維】である「アルギン酸」や「フコイダン」なのです。これらの【水溶性食物繊維】には、脂肪の吸収を抑える作用があります。
次に色素成分の「フコキサンチン」。アンチエイジングに欠かせない抗酸化成分であると同時に、食べたい脂肪をたまりにくくし、たまっている脂肪燃やすという二つの作用で、体脂肪を減らしてくれます。さらに、血糖値上昇の原因となる、脂肪細胞からの炎症性物質の分泌も抑えるといわれています。
そして、やはり忘れてはならないのが、うまみのもととなるアミノ酸、「グルタミン酸」をたっぷりと含んでいること。「だし」を利かせることで、塩分控えめでもおいしく感じられるから、無理なく減塩できます。実は胃にもグルタミン酸のセンサーがあり、グルタミン酸の刺激によって胃の動きが良くなり、
胃もたれを防ぐと同時に食後の満足感が得られます。こうした作用は、人間が利用する20種類のアミノ酸の中でもグルタミン酸にしかありません。肥満、糖尿病、高血圧といったエイジンクを進める現代病から身を守るために、古き良き食卓の基本、「昆布」を見直しましょう!!
驚きの昆布5大パワー
四方を海に囲まれた日本では、魚介類のみならず、海藻類を食べるという独特の食文化が育まれました。中でも昆布は、そのまま食べるだけではなく、世界に誇る健康食、和食のベースとなる「出汁食材」として、料理になくてはならない存在になりました。
国内おける主産地は北海道。7世紀以降、約1000年の月日をかけて全国へと広がり、さらに中国へと伝わって、現在に至ります。養老昆布(よろこぶ)、あるいわ古い和名の広布(ひろめ)=広めるといった語呂のよさから、縁起物として定着しました。近年の研究で、日本人が長い間食べてきた昆布には、現代人の美と健康を支える様々な効能がある事も明らかになりました。
美と健康に効く5大パワー。その1、余分な糖質や脂質の吸収を抑える。その2、体脂肪をたまりにくくし、たまった体脂肪を燃やす。その3、老化のもととなる高めの血糖値を下げる。その4、腸スッキリ! 便秘解消&免疫力アップ。その5、おいしく減塩、過食も防ぐ。
昆布食の歴史と「昆布ロード」
7〜8世紀に、北海道から東北日本海側へ。715年、昆布が朝廷に献上されたという記録が『続日本記』にあります。昆布の文字が使われた最古の日本の文献がこれです。
14世紀、鎌倉時代中期以降、三陸に運ばれ、関西に渡ります。
17〜18世紀、江戸時代に下関から瀬戸内海を通る西廻り航路で関西、そして関東へ。太平洋側を通る東廻り航路でも関東へ伝わりました。
18世紀、長崎や沖縄、そして中国へと広がりました。
昆布の名前の由来は、西暦300年ごろの中国の書物『呉普本草』に登場する「昆布」が語源とする説のほか、アイヌ語の「コンポ」や「コンプ」が由来となりました。
日本語の「広布(ヒロメ)」を音読して「コウフ」となり、「コンブ」に変化したとの説もあります。
昆布の友達 "わかめ"
わかめは、ヨード、カルシウム、カリウムなどのミネラル類を豊富に含んでいます。それぞれの成分には様々な働きがあるといわれます。カリウムには、利尿作用があるとされ体のむくみを取ってくれます。
カルシウムも100g中960mgと昆布より多量に含んでいます。この時、カルシウムの吸収を促進するビタミンDの多い椎茸などと組み合わせるといいでしょう。
ガンを予防するのに効果があるといわれる、カロチン、ビタミンA、多糖類も多量に含みます。多糖類のアルギン酸は、血中の過剰コレステロールを
除き、動脈硬化を防ぐといわれます。また、血栓ができるのを予防し血液の流れもよくしますので、皮膚に栄養が行き渡り美しい肌をつくり、老化を防いでくれます。
しかもわかめはノンカロリー食品で、良質の繊維をサツマイモより多く含んでいますから、肥満防止や便秘解消になり総合的な美容食品といえます。
特におすすめなのが、葉の部分が多いカットわかめより、弊社商品の三陸産わかめなのです。
栄養価もおいしさも断然違います。ぜひ一度ご試食ください。
昆布の友達 "ひじき"
ひじきも昆布と同じ海藻の一種です。ひじきは、食物繊維含有量の最も多いベスト3に入り、主に水に溶けやすいアルギン酸を含んでいます。また、カルシウム、鉄分が他の海藻類に
比べて抜群に多く、ひじきの栄養効果は、昔から妊婦が食べると赤ちゃんの骨を丈夫にするといわれ、野菜が不足しがちな冬には鉄分の補給用食品として重宝されました。
国内のひじきの産地は、長崎、熊本、鹿児島、三重、和歌山などが主で、原藻の採取量は約3000トンで、国民1人当たりの年間消費量は約45g位だといわれています。
弊社でも、伊勢産の上質ひじきを取り扱っており、健康のためにもぜひお食べ頂きたい食品の一つです。
"だし"の友達
"だし"をとる素材として、昆布以外に忘れていけないものに、"かつお節"と"椎茸"があります。どちらも昆布との相乗効果により
料理の基本となるおいしい"だし"をとるために欠かせない友達です。
現代社会では、インスタント食品が多く出回っていますがより良い食生活を送るためにも、ぜひともお使いいただきたい
昆布の友達です。
椎茸は近年、健康食品として脚光を浴びています。椎茸にエリタデニンというアミノ酸やエルゴステリン、レンチナンという成分が
含まれていることがわかったためです。エリタデニンには血液中の過剰なコレステロールや中性脂肪を強力に取り除く効果があるとされています。
エルゴステリンは、日光や紫外線にあたるとビタミンDに変わりますが、このビタミンDにはカルシウムの腸からの吸収率を高め、骨を発育させ歯の強化
を助ける働きがあります。
生椎茸より乾燥椎茸の方が、栄養学的に見ても良いということは、こういう理由のためではないでしょうか。
またレンチナンには、体の免疫力を強力に高める作用があるとされています。医薬品会社では、この成分を取り出して薬を作っていますが、この薬はがん細胞の広がりを
防止する薬として盛んに使われているようです。
このように、健康食品としても椎茸は昆布と同様に重要な食品であります。弊社でも、関連商材としまして国内産天日乾燥椎茸を取り扱っております。
ぜひご利用いただきますようお願いいたします。